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専門コラム 第43話: 心地よい言葉に踊らされると失敗する職場改革のリスクとは コラム

働き方改革がいよいよ本格化する今年、経営者と話していると、必ず出てくる単語が、「長時間労働の是正」や「生産性の向上」というものです。他にもダイバーシティやワーク・ライフバランスなどもありますが、言葉だけが独り歩きしているという印象がぬぐえません。

当社のコンサルティングのプロセスでは、プロジェクトチームを結成してチームメンバーが主導となりつつ職場環境改善を行っていきます。チームメンバーは中間管理職や一般職であるため、「長時間労働の是正」や「生産性の向上」という単語が、自社でも働き方改革に取り組んでいるとはいえ、どうも人ごとに捉えられてしまうという現象がおきているのです。

つまり従業員自身は、自分たちにどんなメリットがあるのかという実感を持てていないのです。逆に、労働時間が短縮されることにより、残業代が少なくなってしまうという危機感をもっているくらいです。

このような認識の中では、「働きがいがある職場づくり」を考えることは到底不可能です。

とはいえ、待ったなしで制度改革にも取り組む必要があります。経営側の視点と、本来ならば恩恵をうけるであろう従業員との目線のズレを、ここで一度、きちんと認識し、目線合わせをしなくてはならないのです。

その説明を十分にしなまま制度のみを導入したところで、社内には不満や不安が渦巻き、その環境の変化についていけない社員が、メンタル不調を起こしてしまうという笑えない状況もおこってしまうのです。

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 社員はどのようなメリットを受けられるのか
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目線合わせをするためには、これまで以上の徹底した説明はもちろんのこと、やはり最も重要なのは、経営者自らが自らの言葉で社員に語りかけるということです。

まず、自社ではどんな人材育成を目指しているのか。自律型、グローバル人材など言葉を使うのであれば、それが実際にはどのような人物なのかを定義する必要があります。その定義は正しい、正しくないかということが問題なのではなく、まさしく自社にとっての望ましい人物像が、わかりやすく伝われれば良いのです。

「社員の成長を望んでいる」という表現であれば、自社における「成長」とはそもそもどんな意味を持っているのかということが重要なのです。専門職として高度なスキルを取得することなのか、あるいは、自分ひとりで仕事を完結するのではなくそれを後輩は部下に教育できる能力のことなのか。

その一歩を踏み込んでいないと、働き方改革の施策は頓挫してしまう可能性が大です。

長時間労働が出来なくなり、残業せずに仕事を切り上げて変えられなければならなくなった。それを一人で抱え込んでしまい、結局納期に間に合わなかった。
自分ひとりで出来ないので、上司が代わりにフォローしてくれることになったが、その肝心の上司がメンタル不調になってしまった。

このような笑えない現象も起きるということです。会社がよくなる、社員がメリットを受けるはずの改革が全く機能せず、社員が働きがいを失うこともあり得るのです。

心地よい言葉に踊らされるのではなく、経営者が自らの言葉で定義し、理解し、伝えてはじめて成功するのが職場改革なのです。その危機感を持っていないと失敗することになるのです。

今週の提言
 職場改革の成功の秘訣は、社員との目線合わせを怠らないこと


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