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専門コラム 第21話:職場環境改革が「全社員参加型」でなければならない理由 コラム

社長が変わってから、女性登用やテレワークなどの制度を積極的に導入し、職場環境改善とワークライフバランスに取り組んできたある企業の話です。

当時の社長は40代で、言葉は適切ではないかもしれませんが「改革推進派」。情熱もあり、とにかく新しいことを取り入れることに熱心で、これまで人事総務部に任せっぱなしだった職場環境の改善にも積極的に関与していました。

ところが、せっかくの新制度は、「反対派」とも言えるような社員がおり、なかなか根付きません。

それならばと、今度はこれらの制度はどうすれば職場に根付くのか、社内のコミュニケーションを活発にするためにはどうしたらよいのかを社内でディスカッションすることになりました。

この時、社長は、役員クラスの経営陣を巻き込み、役員一人につき、それぞれ社員10~20人程度のグループを作って、そのグループのメンバーでディスカッションを行うことにしたのです。集められたのは、それぞれの役員から声がかかった幹部候補生たち。

彼らは本業の仕事に加え、このプロジェクトを全社的に広めるために時間を作って集まっては、熱心な討議を行いました。時にはランチをしながら、ある時には夕方に開催されるため、ケータリングを注文するなど食事をしながら討議に参加したのです。各グループのメンバーの親睦もはかられ、良い感じで進んでいきました。

その中でより具体的な施策が提案され、社長にも認められ、実際に運用されることになったのですが、残念なことに、これも当初はあまり上手くいかなかったのです。

それはなぜなのか。

役員と選ばれた幹部候補生のみでディスカッションされ、決定された提案に「ある、職場環境改善に絶対に必要なもの」が欠けていたからです。

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 改革の順番を間違えると失敗してしまう
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職場環境改善の様々な企画、施策を成功させるためには、「全社員参加型」というのが絶対に必要なのです。わかりやすく説明しますと、女性の管理職登用というのは、当たり前ですが女性が対象になります。テレワークなども、その条件に「子育て中」「介護中」などが入ってしまうと、それも対象者が限られてしまうことになります。

だからと言って、ダメというわけではありません。ですが、全社員が平等に参加できる、メリットを感じられる改革が必ず必要なのです。そのためには、「社員目線」がなければなりません。一部の選ばれたエリート社員と役員で構成された会議では、その視点が欠けていたのです。

そもそもこの企業では、プロジェクトのための会議があちらこちらで、しばしば開催されていることは他の社員にはわかっていました。誰が選ばれているのかももちろん知られていました。その時点で「自分には関係ない」とか「また上から何かやらされるに違いない」などという無関心や反発心が水面下で広がっていってしまったのです。

職場環境改善を行う際に、それを全社員参加で企画をすることは現実問題難しいでしょう。そのため、限られたグループメンバーで行うことになるのですが、そのメンバーの選び方は大変重要です。様々な立場や価値観を持つダイバーシティーメンバーでなければなりません。

また、実際に新しい施策を導入する場合、必ず、全社員が参加できる内容を1つは取り入れること。それも社内に根付くにはある程度の時間が必要にはなりますが、まずはそこから始めることです。その順番が逆になってしまうと社員からの理解を得られず、せっかくの制度が十分に活用されないという残念な結果になってしまうのです。

職場環境改善策は、全社員が参加できるものから始める必要があるのです。

御社には「全社員参加型」の職場環境改善策がありますか?
 正しい順番で改革をはじめていますか?

今週の提言
   職場環境改善には「全社員参加型」の施策が必須


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